購入検討期間の世帯別の違いと物件のセグメンテーションの続きの記事です。
子育てファミリー世帯は購入検討期間は長いという事を前回お話しました。
ここにスポットを当てて考えてみますが、子育て世帯の現状分析をしてみましょう。
悩みは以下のとおりです。
・物件を検討しようにも検討している時間が日常生活の中にない (物件探しの長期化)
・子供の学校や幼稚園などの場所的制約が多く、適合した物件がない (物件探しの長期化)
・購入検討金額が実際払いきれる金額か不安 (有効な情報の不足)
・子供の成長とともにかかる費用の見込みが立たない (有効な情報の不足)
・検討している物件が良質かどうか確認している間に売れてしまった。 (機会の損失)
・新築マンションか新築戸建か迷ったが結局マンションを購入した。 (商品PR不足・機会の損失)
・気に入った建物が市場に無い (商品力不足)
・不動産会社が信用できるかどうか心配 (認知度不足・情報発信不足)
この様な悩みや不安を持たれている方が多いのではないでしょうか。
これら悩みが弊害となり購入検討期間の長期化へつながるのだと思います。
不動産会社として解決していかなければらなない順番は以下の通りだと思います。
1.認知度不足・情報発信不足
2.有効な情報の不足
3.商品力不足
4.商品PR不足
5.機会の損失
6.物件探しの長期化
私は上記順番に問題を解決していくべきだと感じます。
1.認知度不足・情報発信不足
認知度不足は情報発信不足から生まれます。情報発信不足を解決するには、自社イメージの確立、WEBサイト、現地プロモーション、紙媒体の改善、店頭の改善、このような事をいの一番に行った方が良いでしょう。
2.有効な情報の不足
お客様にとって有効な情報とは、物件の情報よりも資金計画面や将来設計面です。物件情報はWEBでも検索できるし、狙っているエリアに建売用地らしき土地が発生した時にはチェックしていると思います。まれに気付かれない事もあるでしょうが、それは情報発信不足の問題です。WEBサイトに掲載できないにしても近所にはポスティングをしておくとか、更地ならばどのような家が建つのかイメージできる看板を立てておくとか、看板に物件カタログを置いておくとかそういった事で気づかれないという問題はだいぶ解決されます。
それよりも資金計画はどのように考えるべきかとか、物件を買う以外にどのような費用がかかるのかとか、そういった事の方が断然気になります。でもそのような有効な情報をしっかりと情報発信できている不動産業者様は稀です。
『物件価格 + 仲介手数料 + 諸経費 =いくら』 みたいなざっくりとした知識は提供できているかも知れませんが、何にどのくらいかかるのか、その内訳はどうなのか、そのうちのどのくらいは還付されるのか、引っ越し代など見落としがちな費用は他に何があるのか?
こういった情報を細かくシュミレーションしたデータなどはとても為になります。
また、住み始めてからの費用もあります。
電化製品はどのくらいで買い替えて、子供が入学する時にはどのくらいの費用がかかって、建物をメンテナンスする費用として毎月どのくらいの貯金をしておけば安心で、水道光熱費は賃貸の時と違ってどのくらいかかって、団信と生命保険のバランスを見たら今の保険料はどうで、固定資産税はどのくらい払って、そういった考えられる事も踏まえたシュミレーションを情報として提供しているところも私は見た事がありません。
お客様が本当に不安なのは、住宅ローンの審査が通るかどうかではなく、支払っていけるかどうかです。
しかし、その悩みに触れる業者は稀です。
3.商品力不足
建売商品として魅力や特徴があるものが少ないというのも、お客様の悩みだと思います。〇田産業や一建〇の建物をやり玉に挙げたセールストークを繰り広げたとしても、正直消費者からみた見た目は変わらないように映ります。
コンセプトをしっかりと打ち出し、違いを明確にする事が重要です。
4.商品PR不足
商品も解り易く商品名を付けるとか、商品ロゴを作るとか、商品のキャッチコピーをつくるとか、そういった商品PRも必要だと思います。
また、他社にはない特徴が何であるのか、仲介商品であれば自社で仲介をするメリットは何であるかなどを考える必要があります。
そしてそれらの商品を解り易く説明したプレゼンシートやWEBページをツールとして持つ必要があります。
5.機会の損失
多くの不動産業者様が悩んでいるところであり、スポットを当てすぎているのが機会の損失だと思います。
機を失ったがために決まらなかったのだと思う事は良いのですが、なぜ気を失ったかと言う反省と改善が必要です。
しかしながら改善順番としては、私は5番目だと思います。機を失うという事はタイミングが悪かった、と言う事になりますがタイミングの話であれば、いつでも失う事など想像でき、それを極力減らす手段として考えられる手法はコストをかけると言う答えに行きつくのが一般的です。(チラシを余計に打つとか、ポスティングを増やすとか・・・)
コストをかけた分だけ、効果が上がればよいですが、あっさり他の会社に決められてしまったりする訳です。
ですから、ここにコストをかけても無駄になります。
機会を増やす手段としては、コストのかからないメールや現場のプロモーションが一番有効だと思います。ポスティングも広域にたくさん配る為に営業マンが半日4時間費やすというような戦略ではなく、効率的に配布する工夫が必要です。
6.物件探しの長期化
1~5までを効率的に行い物件の長期化をなるべく短縮するという事が必要ですが、長期化そのものを短縮するのは難題です。
であれば、長期化するという事を念頭において、戦略を組み直すという事が、結局継続的に売り上げを上げる近道なのではないかと思います。反響があった一人を集中的に追いかけるだけではなく、長期化するユーザーが育ってくる戦略が必要に思います。
こまめに情報配信する手段を持つこと
お客様が魅力的な商品を作ること
こまめにお客様が接触するメディアを作ること
これらを改善し長期化する顧客がコンスタントに成約するスタイルを作り上げることが、新築戸建住宅の戦略としては望ましいと思います。