民主党がやるかやらないのか解らないような状態で宙ぶらりんに議論が尽くされている仲介手数料両手禁止。
これには、元付け業者の物件の囲い込みが大きく影響している。
私自身、元請け業者が広告掲載不可を平然と言っている所に憤りすら感じる。
そもそも仲介手数料を消費者から取らないようにしよう、と言うような短絡的な話ではない。
両手を稼げる業者が他の業者に情報を流さないことにより、健全な不動産流通を妨げている事に問題がある。
売主や家主も得をしなければ、買主や借主も得をしない。
そんな卑怯な両手を廃止するべきだという意見には私も大賛成です。
しかしながら、事はそんなに簡単ではない・・・。
結局元付け業者と販売業者を同じ資本の別会社にしてしまえば良いという事も考えられる。
そうすると、さらに大手不動産会社の優位性が高まってしまう。
両手禁止にしたところで、物件の流通が健全に行われるとは限らないと感じる。
この議論にはそもそものズレを私は感じてならない。
そもそも物件を売るも買うも消費者の決める事で、不動産会社は消費者に選択されるべくサービスを磨かなければならない。
売主から専任媒介契約をいただいている不動産会社のお客様が、その物件をほしいと申し出たとき、両手禁止だから他の不動産会社で契約してください。ということにななりかねない。
売主から専任媒介契約をいただいている不動産会社にしてみれば、自社で契約したら手数料3%を売主からもらうことしかできないため、わざわざ他の業者を紹介し、その業者から紹介料をもらうという事も考えられる。
消費者に健全な不動産流通をさせるつもりのものが、結局消費者にとってみれば、たらい回しにあった結果、相も変わらず3%の手数料は支払う事になる。
何かお偉いさんが考えることは、消費者目線のようで、良くも悪くも業界目線のような気がします。
本来、代金が発生するということは労働の対価です。
八百屋にキャベツが並ぶには、肥料を作る人、畑を耕す人、荷造りする人、農協の人、配送をする人、様々な労力があって、八百屋さんに陳列された時の値段が決まるわけで。
どんな商売でも労働に対する対価が代金だと思うのです。
ですから不動産業といえどもしっかりとしたサービスの中に対価が発生する分には何の問題もなく、それが片手だの両手だのということは消費者にとってはどうでもよい事なのです。
手数料3%払うのであれば、支払った分だけの仕事をしてくれと思うだけです。
3%の価値を提供できないのであれば、1%にするなり、一律30万円で受けるなり、売主からのみもらうなり、それは不動産業者の自由だと思います。
しかしながら、消費者に健全な情報も流れず、代金に応じたサービスもなく、不動産業者が食っていけないから、広告費がその分かかっているから、などという言い分は今後通用しないでしょう。
不純な利益を追求してはならないと決めたところでサービスが良くなるわけではありません。
基本的に元付け業者の物件囲い込みは禁止すべきと思いますが、自由なサービス向上努力は促進し、それに見合った対価は発生するようにしなければ結局消費者へのサービス品質は低下し、暮らしは良くならないと思うのです。
両手禁止とか短絡的な案ではなく、サービスを向上するべく法案が優先されなければならないと感じてなりません。
『こんな法律を作ったから、こんなことはもう出来なくなるぞ!』
というような法律を作るより
『こんな法律を作ったから、その能力を身に付けてください。そうすればこんな利益が生まれますよ』
という法律でなければ、世の中全般が素直に受け入れられるものではないと思います。
お偉いさんや不動産業界は、今一度消費者に目を向けてみてください。
本来、消費者は瞬間的な利益より、永く幸せに暮らせる生活がほしいのです。
その為には、本物のプロフェッショナルからのアドバイスがほしいのです。
消費者にそれを気付かせてあげられるのは、お偉いさんではなく身近な不動産屋さんなのです。
建物を作ったり、リフォームしたりするのは建築屋さんの仕事です。
不動産業は、街をつくり、生活をつくり、建物や土地の活用方法を提案し、それを建築業者に正確に伝え、地域のアイデンティティーを形成していくことが仕事だと思います。
元付け業者も仲介業者も、本当の生活者目線に立った時、不動産業界はいま以上に活性化し、不動産業のステータスは上がると思います。